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カミングアウト<前編>


ラジオ小説


先日の「ゆうの一人ラジオ」で公開した「カミングアウト」 


僕の処女小説です。放送中にシナリオを考え、放送中に執筆・公開するという、

行き当たりばったりにみえて、ちょっと涙・・・の感動作?です。


一般の方にも楽しんでもらおうと、まとめて読めるようにしてみました。


1度読んだ方ももう一度、どうぞ!



『カミングアウト』



「こうすけです。高校2年。身長178センチ、体重61キロ

年齢は、17歳。

友達よりも真剣に僕の話を聞いてくれる人、募集しています。」




きょうも変わることのないいつもと同じ1日・・・。暇つぶしに掲示板にメッセージを載せては、来るメールに一喜一憂する自分がいる。


自分の中で、自分は、「もてる男」という勲章にも似た何かを僕は携帯に、ため続けている。


だけど・・・決して、返信することはない。



僕には、もう心に決めた好きな人がいるから。




僕は、ゲイだ。




─ 作  ゆう ─ 



<<1>>




主題歌 「 miss you 」 コブクロ




「ねえねえ、もうすぐ夏休みだけど、どうする?」


「わたし、バイトだよ」


「おまえら、夏といったら海だろ、海!」


「でた、海ざる!」


「誰が海ざるだよーー!こら、まてー!」




教室の中の雑踏は、僕の耳を素通りする。


僕の目は、彼のほうに、


僕の耳は、彼の声を聞き逃すまいと、


僕は、何気ない素振りで後ろの席にいる彼をみていた。





教室後ろにある黒板の伝言を読むふりをして彼をみた。


教室に入るときは、後ろのドアから入る。まっさきに視点に入るのは、彼だから・・・。


教室を出るとき、彼が出たあとに彼に付き添うように僕も外にでた。


僕は、彼のことが大好きだった。


彼と一緒にいたい、ずっと一緒にいたいと思った。




彼の名前は、けんいち。



クラスメート・・・。



もちろん、僕の気持ちは、知らない。



伝える気もなかった。煙たがれるのも嫌だったし、なにより、

ゲイの友達なんて・・・きっと嫌われる。


もしかしたら他のクラスメートにも言われちゃうかもしれない・・・


僕は学校に来れなくなる・・・。




いろいろな気持ちが頭をよぎったけど、一番おおきな理由は、



僕は、自分の気持ちに向き合うことこそが、




怖かったのかもしれない・・・・。





<<2>>



今までは普通の友達だった。

朝、挨拶をして、


昼は、一緒に御飯を食べて


学校が終わったら近くの駅まで一緒に行った。




何気なく、けんいちの体に触れたとき、うれしかった。


おはよ!って肩をたたいたり、


ひざをかっくんしてひょうしに、背中越しに抱きついてみたり。


今までなら、できたことが、


なんで・・・



なんで・・・



今、こんなに遠く感じるの・・・。





「けんいちのことが好き・・・」



そう思い始めてから、僕とけんいちの間に、距離ができてしまったんだ・・・。





僕があまりにもけんいちの方ばかり見てると周りが誤解するかも。


変な気が僕を邪魔する。


後ろを見るのも、控えるようになった。ただ僕は、背中にも目があったらいいのに。


そう思った。



そしたらいつでも、けんいちのことが見れるのに・・・。




僕の席と、けんいちの席の間には、2つの席があった。


その距離は小さなものだけど、


今の僕とけんいちの間では、50メートルにも100メートルにも、

ううん、1キロ以上にも感じた。



けんいちを確かに感じているのに・・・・


見えないけんいちの顔。





先生「はい、このプリント、後ろにまわして」





唯一、後ろを堂々と見れるチャンスでも、僕の視線は、けんいちをかわしてしまう。


プリントをまわしてすぐ前に戻る僕の視点。


まるで遅れていく時計の針のように、僕の視点は、狂いはじめていた。




感情は、けんいち一直線なのに、なぜか、避ける僕の視点。




今日も長い長い授業が終わったとき、ようやく、後ろをみると、もうけんいちの姿は、


なかった。





けんいち・・・。会いたいよ。


話したいよ。けんいち。





夏休みを前に、僕とけんいちの間に、決定的な事件が起きてしまうのは、この翌日のことだった。




<<3>>



翌日のことだった。



来週から夏休み、という中、後ろの席が騒がしかった。


けれど、気にはなるけど、やっぱり振り向かず、前の黒板をみたり、


ノートを見るふりをして過ごす休憩時間。



10分間なのに、長く感じる。



けんいちの声が、聞こえる。



何、はなしてるの、けんいち。




僕も仲間にいれてよ。


でも、自分から距離をつくっちゃう自分がそこには、陣地をもっていて


落ちる気配はない。



籠城していた。ひたすら、自分の気持ちに。




そのとき、その城を破るやつが現れた。



りゅう「こうすけ、来週の水曜日から旅行にいくんだけど、お前もこない?」



僕「りょ、旅行!?」



りゅう「うん、キャンプにいこうって、けんいちと俺と、こうすけで」



僕「僕も?」



りゅう「おまえさ、最近、付き合い悪すぎるぞ、なんか、あったのか?けんいちと」



僕「な・・・なにもないよ、ぜったい、うん」



りゅう「まあいいけど、じゃあ、仲直りもかねて、いこうぜ!」



僕「けんいちは・・・・なんていってる?」




りゅう「ああ、あいつは、別に誰でもいいってよ」



僕「そう・・・なんだ」



りゅう「じゃあ、決まり!キャンプは1泊2日。テントは、俺が用意すっから」






1泊・・・!?




テント!?






りゅう「どうした、なんで赤くなってんの?」



僕「なんでもないよ、わかった。いくよ、いく!」



りゅう「オッケー!けんいちー、こうすけが来るってさ」



けんいち「んー。わかった」





りょ。。。旅行・・・。けんいちと!?



それもテントの中で一緒にネルの・・・。




僕の中には、りゅうは、居なくなって、


けんいちとの2人旅行が脳裏をかけめぐっていた。






でも・・・・この旅行で僕は・・・。





僕は・・・。



<<4>>


今まで友達で普通に接してきたクラスメート。あるときから、特別な感情を抱きはじめた僕は、


けんいちと距離をもちはじめた。


何かが崩れたわけではない。


崩れるのが怖くて、自分から近づけなくなった。


こんなに好きなのに。こんなに・・・。


2つの席をまたがって、一番後ろにいるけんいちの机。


だけど、その2つの席は、近くはなかった。僕にとっては、けんいちが見えないほど・・・



とおい・・・


とおい距離だったんだ。




僕は、絶対に好きになってはいけない相手に恋をしてしまった・・・。


僕が気持ちをさらけ出せば、


この何気ない風景、何気ない1日、何気なく過ごしてきたこの教室、この学校、この勉強、



そして、今まで培ってきた僕という人生



すべてを崩壊してしまう、そう思ったんだ。






僕は、けんいちと距離をもつことで、自分の感情を殺そうとした。


だけど・・・



だけど・・・。





りゅう「こうすけ、来週の水曜日から旅行にいくんだけど、お前もこない?」




旅行・・・。



この夏休み、僕の恋は、クライマックスにむかって走り出した。



あっという間に、水曜日になった。キャンプ当日の朝・・・



まったく眠れないまま、僕は、小さめのリュックサックに、着替えのパンツを詰め込んだ。



今晩は・・・けんいちと一緒・・・。


僕の中に、葛藤があった。



気持ちとしては、行きたい! けんいちに全部打ち明けて楽になりたい!



そう思っていたけど、不安のほうが気持ちより膨らんで、


緊張した朝となってしまった。



黄色いタンクトップに短めのダメージジーンズ、胸には、買ったばかりのアクセサリーをつけ・・・



自分の中で、精一杯、おしゃれな自分を演出する鏡の前。




ニー!!!



笑顔を作る。



チュー!!!



唇をとんがらしてみる。



ちょっとけんいちの唇を想像して、股間がアツくなった。





朝8時49分の電車。




けんいちとは、現地で落ち合うことになっている。


これから行くキャンプ先は、川。


もちろん・・・水着だろう。




僕が最後にけんいちの水着姿を直視したのは、まだ中学のころだった。


高校にはいってからも水泳の授業はあったのだけど、


1年のときはクラスが違い、


また一緒に海やプールにいくこともなかった。





久し振りにみるだろう、けんいちの水着姿。


もちろん、逆の想像だってある。僕の水着姿を久し振りにけんいちに見せるのだ・・・。




昨日の夜、チェックした限りでは、


汗疹やニキビはない。


腹筋も少し目立つように、この2、3日は、がんばって1日100回、腹筋してきた。




不安のほうが大きい割に、準備だけは万端の僕。






駅で、りゅうに会った。




りゅう「おおー!おはよ! ちょっと荷物が多いから、てつだってよ」



でっかいテントに、あと、すごく大きなリュックサックが2つもあった。



りゅうは、僕とは違い、アウトドア派。


キャンプだってこの夏で、これが最初じゃないっていうから、どんだけーって思ってた。




僕「なにもとうか」



りゅう「リュック1つ頼むわ」



僕「りょーかーい」





りゅうとは、軽く話せる。


けんいちと違う。





りゅう「じゃあ、いこっか」





・・・。



ガタン



ゴトン。




僕「テントって、、、お風呂はどうすんの?」



ずっと眠れなく気になってた話題を電車の中で聞く僕。





りゅう「テントはる近くに露天風呂があるから大丈夫だよ、誰も川で体洗えっていわないだろ(笑)」






僕「ろっ!!!!!てんぶろ!?」




りゅう「おいおい、何もそんなにびっくりすることもないだろ? さては、お前・・・・」





ギク・・・。


ば・・・ばれた!?





りゅう「混浴を期待してるだろ!」





りゅうは、にやついた顔で僕を覗き込んで、そういった。




僕「そ・・・そうなの?」





りゅう「露天風呂といっても、わかれてるよ。残念やけど!」




僕「そうなんだ・・・。残念・・・」




ちょっとほっとした。


いや、すごくほっとした。




りゅうには、ぼろがすぐ出そうになる・・・。気をつけないと・・・。






りゅうとは、高校のときからの友達になる。



けんいちとは、中学のときからだ。


けんいちとりゅうは、1年のとき、同じクラスですっかり仲がよくなっていた。


僕が羨むほどに。









でもこれではっきりしたことがある。


今回のキャンプでは、



水着姿だけじゃない。









何も身につけてない、全裸の、けんいちを見ることができるのか。


そして僕も全裸・・・。



想像しただけで、電車の中で僕のち○こは、大きくなってしまった。


電車の中。



前には、OL風の若い女性が吊革をもってたっていた。





怪しまれないように、僕は、荷物をあしのうえに置いて、


股間のふくらみを隠した。












電車に揺られながら



妄想列車が僕の脳裏で走り回っていた。



気がつくと、前にいた、OL風の女性もいなくなり、景色はすっかり田舎景色になっていた。



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【恋人】彼氏(ゲイです)
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