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ボクに彼氏ができるまで(3)

▽前回まで▽

[ボクに彼氏が出来るまで](1)

[ボクに彼氏が出来るまで](2)


★この更新はボクに彼氏ができるまでを振り返る、自叙伝です。

★書籍化を目指していますが、とくに今まで通り読んでもらえるとうれしいです。



(3)─────────


小学5年に進級するかしないか、くらいのまだ寒い頃だった・・・。


ボクの宝物で、一番大好きなお母さんがボクの前から居なくなった。



─入院。



ボクにしてみたら、それはとっても急な話だったし、


どこが悪いの?どこも怪我してないじゃん!と、

ボクは一人騒いでた。


お兄ちゃんや親戚は、とっても深刻そうな顔をしていたけど、

その時のボクには、その意味は分からなかったんだ。





入院2日目、ボクとお兄ちゃんがお見舞いに行くと、

お母さんは風船のようなものを膨らませていた。



「あれ?何?」


と聞くと、お母さんは、


「これからお母さん、手術するの。だから体力つけなきゃいけないの」




甘えてばかりのボクにも、

お母さんに怒られた記憶がある。



それは、お母さんからもらった昼食代をボクは、小遣いにして

お昼御飯を食べなかったときだった。


お母さんは、


「お小遣いがほしいなら別にあげるから、お昼はちゃんとたべなさい!」


と言ってボクの頭を軽くたたいた。


そのとき、ボクは泣き叫んで自分の部屋に閉じこもったんだっけ。




あとで考えると、お母さんは

小遣いにしたことを怒ったんじゃなくてお昼を抜いたことに

怒ったんだ・・・って思った。


ボクのことだけを考えてくれてるんだ・・・って。




でも、そのお母さんは、体力をつけるっていいながら

机の上には、食器もご飯も置いてなかった。



他の患者さんとこには、置いてあるのに・・・。






病院は、家から車で30分以上もある。


そんなに毎日毎日いける距離じゃなかったし、お兄ちゃんも学校があったから


しばらくお母さんに会えないときもあった。




今まで学校から帰ると、あったかいお母さんが待ってた。


一緒に夜ごはんを買いにいったり、


何か学校で嫌なことがあっても膝枕で頭を撫でながら聞いてくれた。



でも、今は、家に帰ってもボク一人になった。

お兄ちゃんも学校があるから夜まで家に居なかったんだ。


それといい忘れたけど、ボクにはお父さんはいない。

正確には、いたけど、いなくなったんだ。



ボクの甘え癖も、お父さんがいなかったせいかもしれないな、と

ふと思ったけど、

お母さんがとっても優しかったからかな。



お母さんが居ない日なんて考えたことなかった。


その時間は、ボクにとっては、地獄だった。



お兄ちゃんは、いつも学校にいく前に夜ごはんの支度と、

ビデオのセッティングをしてくれていた。


ボクは、家に帰るとビデオの▲ボタンを押す。


すると、テレビには、ドラえもんの映画が流れた。


それを見ている間だけは、

まだ、マシだった。



これが終わるまでに、お兄ちゃんが帰ってくる・・・

そう思うと不安じゃなかったんだ。



寂しいときには、


ドラえもんに、「早くお兄ちゃんが帰ってこれるようにどこでもドア出してあげて」とか言ってるときもあった。


映画は約2時間。それが終わるまでに、お兄ちゃんは、帰ってきてくれた。


けど、学校が早く終わるときや、


土曜日などは、ドラえもんでは、持たなかった。




それにボクが、操作をまちがえて、

ビデオの再生が始まらなかったときなんか、


ボクは、泣き叫んでしまい

隣の住民がびっくりしたこともあった。




きっと、お兄ちゃんも学校どころじゃなかったんだろうな。


ボクのことで・・・。





病院にお見舞いにいくと、すぐにボクの話になる。


お兄ちゃんは、「ユウは、俺が面倒みてるから」と言って

お母さんを説得していたけど、


お母さんは、ボクの心配ばかりしていた。

ボクもそれがわかるから、顔を見せにいくことが

逆に病状悪化させてるんじゃないか?とか、


思うようになってた。




お母さんは、手術が終わったあとも

やっぱり、食事らしいものをとってなかった・・・。



入院も、最初は、1カ月や2カ月で・・・といってた話が

気づくと、



ボクは小学5年、そしてボクの誕生日もお母さんが一緒に祝ってくれることなく

過ぎてしまった。





お母さんは、帰ってこない。


お兄ちゃんも、帰ってこない。





夜7時半。


そんなボクにさらに追い打ちをかけるように

震度3の地震が襲ってきた。




ボクはパニック状態になり、

泣きながら、近くにあった本や新聞とかを

壁にむかって投げてた。




何に対しての八つ当たりなのか、

わからない。



まだドラえもんが続いていたけど、そのテレビも

ボクが投げた何かが当たったせいか、

消えてしまって、


さらにそれがパニック状態に拍車をかけた。





そのときの記憶は、今も鮮明に残ってて、



本を玄関のドアに向けて投げつけたとき、

そのドアが開いて、お兄ちゃんに本は当たったんだ。





お兄ちゃんは、ボクを怒らずに、

ただ玄関に落ちた本を拾って、

ボクに背を向けて、目を手で拭ってた。



「ユウ、ごめんな、遅くなって」






ボクが迷惑をかけてるんだね。


お母さんにも、


そしてお兄ちゃんにも。




そう思うと、また涙が止まらなくなった。


この翌日から・・・


ボクは、学童保育に通うことになった・・・。






甘えてばかりだった自分が一歩、

違う世界に足を踏み入れたんだ。






─(次は、来週の更新になりまーす)─

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【名前】裕(ゆう)
【年齢】30才
【3サイズ】
171センチ、
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USJでエンターしつつ、ほかの仕事もしてます。自営業。
【恋人】彼氏(ゲイです)
【ペット】クゥちゃん

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