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VOICEー(3)
<<これは、11月に更新する『ゆうの一人ラジオ?VOICE?』で最終回を迎える連続小説です。>>
<<前回のゆうの一人ラジオで放送した連続小説は、下記からご覧いただけます>>
カミングアウト(前編)
http://ameblo.jp/yusakumode/entry-10130079395.html
カミングアウト(後編)
http://ameblo.jp/yusakumode/entry-10130079649.html
玄関前に、しゃがみ込むミズキを僕は、部屋に入れた。
ミズキは、ただ、うつむいて何も話してくれない。
僕は、少し濡れたシャツの上に、薄手のジャケットを着ると、
ミズキにも、タオルをかけてあげた。
『ゆう、軽蔑した?』
僕は、まだ戸惑っていたんだ。何を言ってあげたらいいのか、、
さっきのキスのことをどう考えたらいいのか、
混乱して、言葉を探して先の見えない地平線に向かって歩いているような気がした。
ながーいようで短い沈黙が過ぎ、
「軽蔑なんてしてないよ、ただ驚いた。だって、そんな素振り、なかったでしょ?」
軽いノリの言葉で自分の混乱を抑えることに終始した。
高校に入って2年間、付き合ってきた友達だったのに、
まったくそんな素振りに気付かなかった。
ゲイなんて・・・
僕は、本やビデオの中の話として遠い存在にとらえていたんだ。
まさか、身近に、
しかもそれが友達だったことにすごい衝撃を覚えているのは事実なんだけど、
軽蔑とは違う。
『そんなこともないよ。ゆうのこと、見てたよ』
ミズキは、そういうと、僕のほうに倒れかかってきた。
僕は、ソファの上で、ミズキに倒されるように寝ころぶと、
その上に、ミズキが乗ってきた。
見慣れた天井のシミと、ミズキの唇が、一瞬重なってシミが消えたと思った瞬間、
また熱いものが口の中に入ってきた。
2回目だと多少の慣れはあるが、やっぱり男のキス、違和感があった。
軽くミズキの頭を抱き起こし、唇が離れる。
まだ後味の残る、微妙なキス・・・。
でもそれは、とってもあったかく、柔らかかった。
ミズキの顔を見ながら、ほんと、今までこのミズキの顔を
ちゃんと見てなかったのかな、と
思うほどに、
ミズキは、可愛らしかった。
「それで今日は、どうしたの?」
僕が、それを聞こうとしたとき、電話が鳴った。
ミズキの携帯電話・・・。
『あっ・・・ ゆう、ごめん。ちょっと出るね』
そういうと、ミズキは、僕から少し離れると、
通話ボタンに指を近づけながら、僕に言った。
『彼氏だ・・・ゆう、声出さないでね』
そういうと、通話ボタンを押した。
失恋したんじゃ・・・?
そう疑問に思って首をかしげる僕、
でも、嬉しそうに電話に出るミズキに、少しほっとした。
いつもの顔だ・・・と思ってさ。
だけど、その電話は・・・
そんなうれしい電話じゃなかったんだ。
隣にいる僕は・・・
その電話の相手の男に、なんだか今は説明が出来ない変な感情を覚えた。
それが、嫉妬なのか、
相手に対してのいらだちなのか、
やっぱり説明がつかなかった。
混沌と流れる時間が長く感じ、
次第に、ミズキからは、大粒の涙がこぼれていた・・・。
(続く)
─ なんと、来月の最終回では、僕が歌います! 感動のクライマックスもぜひぜひご期待ください ─