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虚空(2)
前回までは、コチラ
虚空(1)
─ 見えているかい?大きなお月さまの傍らで、一番最初に輝いた星。一番星。
ちょっと目を離すと消えてしまいそうなその小さな小さな光は、必死に何かを背負い、何かを隠し、何かを求めていたんだね。誰もそれに気付かないうちに、君は姿を消してしまう。
辺り一面を満点の星が輝くときには、一番最初に輝いていた君の姿は、もう無かったんだ。
でもね、僕は見つけたんだ。一番星を。この時間、この最初の夜空でしか見つけられない、君を・・・。
人も少なくなり酔っ払いと、ガールズバーの客引きしか目立たなくなった時間、商店街をただ一人、僕は走った。興、君を求めて。
後ろからも数人の足音が聞こえていたけど、僕の耳には入ってこなかった。何本ものわき道があったのにただまっすぐ、まっすぐ、商店街を突き進む。信号を渡り、次の商店街に入っても足を止めることはなかった。
小さな小さな神社の境内が見えてきた頃、その前にあるたった数段しかない階段に、座っている興を見つけた。
「興、、はぁ・・・。はぁ・・・」 息をきらしながら興に声をかけた。顔をあげ、しずかに僕の方をみたあとまたすぐ立ちあがって、
「興、行かないで!何があったんだ、さっきのやつらは・・・」
僕は必死になって呼びとめた。興は、「もう俺は店を辞めたんですよ。ほっといてください」
「ほっとけないよ!」、静まり返った境内に響き渡る声が静かにコダマした。
興は、「ママに聞いたんでしょ?俺のこと。」
今までの興とは違い、にらみつけるような目で僕に目をやると、「もう店やめたんです。関係ないでしょ?」といいはなち、僕から目をそらすように、右手は激しく僕を突き放すようにまっすぐにのび、そして気付くと興は僕の元から走り去っていく。
僕は、少し呼吸を整えながら、その後を追いかけようと足をあげたが次の瞬間、肩を強い力で抑えつけられた。
「兄ちゃん、さっきの男とどういう関係?」
後ろを振り向くと路地で興ともめていたあの男たちが僕の後ろに立っていた・・・。
僕は、何があったのか聞こうと身体の向きを変えたら次の瞬間、僕は飛んだ。すごい力と魂が抜けるような衝撃、まるでトラックかなにかに衝突したような感じに僕は宙を舞い、そして地面にたたきつけられた。
顔を覆う痛みに手をあてながら、突然殴られたことに動揺し、興が走り去った方に目をむけていた。
「よくも邪魔してくれたな、兄ちゃん。覚悟はできているんだろうな?」
そのあとは、お腹、背中、頭と、蹴られ殴られ、僕は次第に意識が薄れていった。痛みは最初だけで、今はもう何も感じなくなっていたんだ。
何も風景がない、何もない空間。
そこにただひとつ、小さな小さな星が輝いている。僕は必死にそれをつかもうと手を伸ばし、そして闇に包まれた。
僕は、死んだのだろうか・・・。ううん、もうそれでもいいや。と諦める自分がまたそこにいた。
僕の人生、いつだって孤独だったから。こういう消え方も、自分らしいやと思っていたのかもしれない。でも次第に明るくなっていくその小さな星の光にだんだん僕は包まれて、
そのまぶしさに目をあけると・・・
あたりはすっかり朝になっていた。「いた!!」 一瞬、夢だったんだと思い込もうとする自分を完全否定する痛みが全身を覆った。
現実だったんだ・・・と。僕は、必死に起き上がろうとしたけど腰の激痛がひどく、起き上がることができなかった。あたりを見渡すと、場所は神社の中。
掃除をするおじいちゃんが僕のもとに走り寄ってきた。
「大丈夫かい?あんた」 そう声をかけると黒ずんだ手を僕に差し伸べた。僕は迷わずそれにつかまり、なんとか起き上った。
「いたい・・・」さっきからそれしか言ってないような気がする僕の脳裏には、今日、仕事にいかないといけないということがちらっと脳裏をかすめると、
「救急車呼ぶかい?」というおじいちゃんの声に、「はい・・・」と答えるとまるで、それで仕事に行かなくて済んだとばかりに、ほっとする自分に気付いた。
頭の中を整理しているうちに、救急車の音が聞こえ出した。そこに、もうひとり僕のもとに駆けだしてきた。あ・・・。それは、よく知っている人だった。
ママ・・・。
ゲイバーのママだ。
「大丈夫?災難だったわね」
少し化粧がとれ、髭が見え始めていた。「はは・・・何があったのかよく覚えてないや」とちょっとうすら笑いをみせると、
「興ね・・・。」
すっかり見透かされていた。
「私、裕が毎週のようにこのあたりを歩いているのをみて気付いていたわ。興を探しているのかしらって。」
そのあと厳しい目になって、こういった。
「あの子に近づいたらダメよ。雇った私がいうのもなんだけど、あの子は危険なのよ」
どう危険だというのか。あんなに、あどけない子供のような、そして何より、あんなに人に接するのが丁寧な子がどうして危険なのか。僕は興に殴られたんじゃない。
「ママ、心配かけてごめん。でも僕、興のこと気になってるんだ」
そのあとママは、黙り込んだまま、救急車は到着した。
興は、僕と同じでつい最近まで付き合ってた彼氏にひどいことをされ、そして別れた。同じ境遇をもってた。楽しかったんだ。あの時間、あの店での時間。僕らは、すっかり打ち解けてた。
店子と客かもしれない。僕に見せたあの笑顔まで、ただの接客だったというのか。
おかしいじゃないか。
もし、ママがいうように、お客の財布に手をつけたり、いろいろなトラブルを抱えているなんてしたら、まるで僕の知っている興とは別人だ。
僕は、いったい、だれに一目ぼれしたというのか。
救急車の走る中、数分と短い時間が僕の中では数時間のように長く、脳は何回転も何十回転も、何億回転もしても結論は、出ないままだった。
僕には、信じられない。
病院につくと、ママが先に救急車をおりて僕が下りてくるのを見ていた。
僕は、横になったまま、運ばれ、
ロビーを過ぎ、そして部屋へと通された。
現実の会社に電話を入れないと、という思いよりも、興のことばかり考えていた。
あの男たちは、何だったのか、
本当に興は、客の財布に手をつけたのか、
ママの言った、危険とはどういう意味なのか。
分からないことだらけだ。興、覚えているかい。僕が彼氏にひどいことをされたと話したとき、君は、
「でも裕さんが無事でよかったよ。こうして会えたんだもん。」
見つけたんだ。一番星を。
僕は、君が消えないうちに、もう一度・・・もう一度、会いたい。
―続く―
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─ 見えているかい?大きなお月さまの傍らで、一番最初に輝いた星。一番星。
ちょっと目を離すと消えてしまいそうなその小さな小さな光は、必死に何かを背負い、何かを隠し、何かを求めていたんだね。誰もそれに気付かないうちに、君は姿を消してしまう。
辺り一面を満点の星が輝くときには、一番最初に輝いていた君の姿は、もう無かったんだ。
でもね、僕は見つけたんだ。一番星を。この時間、この最初の夜空でしか見つけられない、君を・・・。
人も少なくなり酔っ払いと、ガールズバーの客引きしか目立たなくなった時間、商店街をただ一人、僕は走った。興、君を求めて。
後ろからも数人の足音が聞こえていたけど、僕の耳には入ってこなかった。何本ものわき道があったのにただまっすぐ、まっすぐ、商店街を突き進む。信号を渡り、次の商店街に入っても足を止めることはなかった。
小さな小さな神社の境内が見えてきた頃、その前にあるたった数段しかない階段に、座っている興を見つけた。
「興、、はぁ・・・。はぁ・・・」 息をきらしながら興に声をかけた。顔をあげ、しずかに僕の方をみたあとまたすぐ立ちあがって、
「興、行かないで!何があったんだ、さっきのやつらは・・・」
僕は必死になって呼びとめた。興は、「もう俺は店を辞めたんですよ。ほっといてください」
「ほっとけないよ!」、静まり返った境内に響き渡る声が静かにコダマした。
興は、「ママに聞いたんでしょ?俺のこと。」
今までの興とは違い、にらみつけるような目で僕に目をやると、「もう店やめたんです。関係ないでしょ?」といいはなち、僕から目をそらすように、右手は激しく僕を突き放すようにまっすぐにのび、そして気付くと興は僕の元から走り去っていく。
僕は、少し呼吸を整えながら、その後を追いかけようと足をあげたが次の瞬間、肩を強い力で抑えつけられた。
「兄ちゃん、さっきの男とどういう関係?」
後ろを振り向くと路地で興ともめていたあの男たちが僕の後ろに立っていた・・・。
僕は、何があったのか聞こうと身体の向きを変えたら次の瞬間、僕は飛んだ。すごい力と魂が抜けるような衝撃、まるでトラックかなにかに衝突したような感じに僕は宙を舞い、そして地面にたたきつけられた。
顔を覆う痛みに手をあてながら、突然殴られたことに動揺し、興が走り去った方に目をむけていた。
「よくも邪魔してくれたな、兄ちゃん。覚悟はできているんだろうな?」
そのあとは、お腹、背中、頭と、蹴られ殴られ、僕は次第に意識が薄れていった。痛みは最初だけで、今はもう何も感じなくなっていたんだ。
何も風景がない、何もない空間。
そこにただひとつ、小さな小さな星が輝いている。僕は必死にそれをつかもうと手を伸ばし、そして闇に包まれた。
僕は、死んだのだろうか・・・。ううん、もうそれでもいいや。と諦める自分がまたそこにいた。
僕の人生、いつだって孤独だったから。こういう消え方も、自分らしいやと思っていたのかもしれない。でも次第に明るくなっていくその小さな星の光にだんだん僕は包まれて、
そのまぶしさに目をあけると・・・
あたりはすっかり朝になっていた。「いた!!」 一瞬、夢だったんだと思い込もうとする自分を完全否定する痛みが全身を覆った。
現実だったんだ・・・と。僕は、必死に起き上がろうとしたけど腰の激痛がひどく、起き上がることができなかった。あたりを見渡すと、場所は神社の中。
掃除をするおじいちゃんが僕のもとに走り寄ってきた。
「大丈夫かい?あんた」 そう声をかけると黒ずんだ手を僕に差し伸べた。僕は迷わずそれにつかまり、なんとか起き上った。
「いたい・・・」さっきからそれしか言ってないような気がする僕の脳裏には、今日、仕事にいかないといけないということがちらっと脳裏をかすめると、
「救急車呼ぶかい?」というおじいちゃんの声に、「はい・・・」と答えるとまるで、それで仕事に行かなくて済んだとばかりに、ほっとする自分に気付いた。
頭の中を整理しているうちに、救急車の音が聞こえ出した。そこに、もうひとり僕のもとに駆けだしてきた。あ・・・。それは、よく知っている人だった。
ママ・・・。
ゲイバーのママだ。
「大丈夫?災難だったわね」
少し化粧がとれ、髭が見え始めていた。「はは・・・何があったのかよく覚えてないや」とちょっとうすら笑いをみせると、
「興ね・・・。」
すっかり見透かされていた。
「私、裕が毎週のようにこのあたりを歩いているのをみて気付いていたわ。興を探しているのかしらって。」
そのあと厳しい目になって、こういった。
「あの子に近づいたらダメよ。雇った私がいうのもなんだけど、あの子は危険なのよ」
どう危険だというのか。あんなに、あどけない子供のような、そして何より、あんなに人に接するのが丁寧な子がどうして危険なのか。僕は興に殴られたんじゃない。
「ママ、心配かけてごめん。でも僕、興のこと気になってるんだ」
そのあとママは、黙り込んだまま、救急車は到着した。
興は、僕と同じでつい最近まで付き合ってた彼氏にひどいことをされ、そして別れた。同じ境遇をもってた。楽しかったんだ。あの時間、あの店での時間。僕らは、すっかり打ち解けてた。
店子と客かもしれない。僕に見せたあの笑顔まで、ただの接客だったというのか。
おかしいじゃないか。
もし、ママがいうように、お客の財布に手をつけたり、いろいろなトラブルを抱えているなんてしたら、まるで僕の知っている興とは別人だ。
僕は、いったい、だれに一目ぼれしたというのか。
救急車の走る中、数分と短い時間が僕の中では数時間のように長く、脳は何回転も何十回転も、何億回転もしても結論は、出ないままだった。
僕には、信じられない。
病院につくと、ママが先に救急車をおりて僕が下りてくるのを見ていた。
僕は、横になったまま、運ばれ、
ロビーを過ぎ、そして部屋へと通された。
現実の会社に電話を入れないと、という思いよりも、興のことばかり考えていた。
あの男たちは、何だったのか、
本当に興は、客の財布に手をつけたのか、
ママの言った、危険とはどういう意味なのか。
分からないことだらけだ。興、覚えているかい。僕が彼氏にひどいことをされたと話したとき、君は、
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続きが気になります(#^.^#)
無理しないで下さいね(^O^)
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続きになる~><ww
どんな展開になるか楽しみっす^^
がんばって^^☆彡
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「続き気になる」でした><w
ごめんなさい><w
ごめんなさい><w